脳神経科学に基づく脳卒中患者の
歩行と治療について
上伊那生協病院 理学療法士
大槻 利夫 先生
【講演概要・キーワード】
1. 歩行練習のための準備的治療について
2. 感覚入力が大切
3. 患者の姿勢・運動パターンから運動系下行路の特徴を探る
4. 歩行の治療的介入の実際
【講演アブストラクト】
ヒトの立位の特徴は、狭い支持基底面の上で高い重心位置を保っていることであり、歩行にはさらに片脚立位と前方への重心移動という運動が加わる。人間のすごいところはこのような高度なバランスを必要とする運動を日常的には意識せず行っていることである。
しかし脳卒中患者さんは、立ち上がって立位を保持しながら歩く、という過程のすべてにおいて自身の身体の使い方に注意を向け、周囲の環境を意識しながら歩く。歩行の獲得を目標とした理学療法介入は、可能な限り努力的でなく効率的で環境や課題に合わせてスピードや身体の使い方を変えられる「walking」の再獲得をめざす。そのための準備として、筋の長さとアライメントの維持・修正、筋緊張の改善が必要であり、姿勢制御のための足底や上下肢、頭頚部・体幹からの固有受容感覚入力を急性期から始めていく。この際、内側と外側運動系下行路の機能的特徴をベースに評価・治療を進めていくことは重要である。
理学療法介入の実際として、まず二本足で立つこと、そして非麻痺側下肢を一歩出す(麻痺側下肢をうしろに残す)について提案したい。