脳卒中後の上肢運動障害に対するアプローチ

神経科学を基盤にした上肢機能アプローチの実際

【講師】
竹林 崇先生 
吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 准教授


<アブストラクト>
 昨今,神経科学を基盤としたリハビリテーションアプローチが盛んに行なわれている.Boydらは,これら神経を基盤にしたアプローチを行う中で,脳の可塑性因子に良好な影響を与える要素は「Behavior(行動)」だと述べている.つまり,ヒトは脳に何らかの可塑性が起こった結果,行動が変容するわけではなく,行動が変容して初めて,行動に特化した脳の可塑性が生じると考えられている.
 実際,近年の研究においては,麻痺手に対する種々のアプローチを実施した結果,Fugl-Meyer AssessmentやWolf Motor Function Testといった麻痺手の「運動機能」に対する良影響は多くの研究で取り上げられているが,Motor Activity logや活動量計といった「生活における麻痺手の使用行動」に良影響を与えられるアプローチは極少ないと多くの研究者が述べている.
 一方,Taubらが開発し,エビデンスが確立されているConstraint-induced movement therapyであるが,これも先行研究では玉石混合の様相を呈している.一見「運動機能」に対するアプローチと思われがちのCI療法だが,「麻痺手の集中使用の意味」,「課題志向型アプローチの実際」,「麻痺手の機能改善を行動に転移するための行動戦略」」といった行動心理学を基盤とした主要コンポーネントを通じて,「生活における麻痺手の使用行動」を改善することが第一目的とされている.
 今講義では,これらのコンポーネントに関するメカニズムと実際を述べる予定である.また,本セミナーで同時に,生野氏が講演される,行動変容をより効率的に出現させるための手法である「物理療法」との併用療法についても,若干述べたいと考えている.本講義の目的は,対象者の状況に合わせ,上記の手法をオーダーメイドに修正することにより,対象者の麻痺手を用いた役割,人らしさの復権を目指す思考を理解し,実現できることである

脳卒中後上肢運動障害に対するアプローチ
~重度運動障害に対する物理療法を併用した積極的運動療法~

【講師】
生野 公貴先生 
西大和リハビリテーション病院 リハビリテーション部 副技師長 理学療法士


<アブストラクト>
大規模な脳卒中疫学研究であるコペンハーゲン脳卒中研究(Nakayamaら,1994)では,入院患者の約30%が重度の運動麻痺を呈し,そのうち上肢が機能的に使用できるレベルに到達するのはわずか5%と報告されている。重度運動麻痺は,我々療法士が度々遭遇する解決すべき課題であるが,最も難渋する課題でもある。伝統的には神経筋促通手技による麻痺の改善,関節可動域の維持や利き手交換などの代償的ADLの獲得に向けた介入がなされているが,麻痺の機能改善に対して十分なアプローチがなされてきたのであろうか。近年,基礎研究の知見に基づくロボットや電気刺激による治療介入により,重度運動麻痺においても機能改善が得られたとする報告が散見されるようになってきた(Haywardら, 2012)。本講義では,日常生活動作における上肢使用改善のための課題指向型練習を実現させるために,重度運動麻痺の機能改善を目的とした“電気刺激を併用した積極的運動療法“について,実技(デモンストレーション)を交えて解説する。その他,重度運動麻痺に合併しやすい麻痺側肩関節亜脱臼や痙縮に対する新たな試みにも触れたい。

平成29年7月2日(日)
【タイトル】
 脳卒中後の上肢運動障害に対するアプローチ
【開催地】東京
【会 場】戸山サンライズ 大研修室
    (東京都新宿区戸山1丁目22-1 2F)
【時 間】10:00~16:00(受付9:30開始)
【講 師】
・竹林崇 先生
  吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科
  准教授
・生野公貴 先生 
  西大和リハビリテーション病院
  リハビリテーション部 副技師長 理学療法士
【参加費】
通常:\10,800円+税
キャンペーン割:\8,800+税

セミナー参加費
通常
キャンペーン割
¥10,800+税
8,800+税
団体割(2名様)
キャンペーン割
¥10,800+税
1名様あたり
7,800+税
団体割(3名様~)
キャンペーン割
¥10,800+税 
1名様あたり
6,800+税

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