「step up フォロ-stage2 in 熊本」を終えて

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山嵜 勉 先生


人間の形態と機能と理学療法 ~形態構築アプローチ~

元 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院
                         リハビリテーション部技師長
                               山嵜 勉 先生

~前回講義の結果は・・・・~

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「どうしてもうごかしすぎるんだよね・・・それに強く押しすぎる。だから結果が出ない。」

 前回の講義から約1カ月が経過して今回の実技編が開催された。参加者の方たちはこの日を心待ちにしていただろう。しかし、一番心待ちにしていたのは山嵜先生ではないだろうか。それは「受講者の方が現場に戻ってどうだったかがものすごく楽しみ。その結果がきけるからね。」と話されていたからだ。
講義は各関節ごとにまず講話又はレクチャーがあり、それから自由に実技を行う形であった。実技が始まると先生が各ベッドを回り指導をおこなっていたが、そのベッドの周りには人だかりができ、先生が移動すれば人だかりも移動する。


「何でもつかえりゃいいんだよ!」


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 この講義の中で先生はアプローチの他に、理学療法士のそのものについても話された。
「動きをみるのではなく形をみればその人がどのような動きをするのかがわかる。」

「足は2本でセットであり、1本ずつ考えるのはナンセンス。」
「私たち人間は何本で歩いている?2本だろ?」







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「医者は命と隣り合わせ。理学療法士は命なんて関係ない。」
「私たちが考えなければならないのは、患者がこれからどういう人生を送るのか。どのように送らせてあげられるのか。」

「知識だけ豊富で、技術がないのなら意味がない。こうしたいと思っても技術がなければそうできないのだからね。」
「患者側は何で私(患者)が頑張らなきゃいけないの。あなた(セラピスト)がもっと頑張りなさいよと思っているに違いない。」

「人間だから誰だって楽をしたい。患者だって人間なんだから楽をしたいんだよ。」
私たちが予想もしない又は考えられないような言葉が次々と出てくる。

ガムテープとダンボールを使った簡易足底板の作成。ガムテープを足底に貼って作り出すアーチ形成。理学療法の中に昔を思い出す図画工作を取り入れたアプローチ方法。
何でもつかえりゃいいんだよ。」



~講義を終えて

 休憩のとき先生に「先生の理論はいつ完成されたのですか?」質問してみた。
先生の答えはこうだった。「うーん。2年前だね。若い頃は異端児扱いされて見向きもされなかった。70代ぐらいになってやっと興味を持ってくれる人がでてきたよ。今が理学療法士として最高の状態だよ。これからもだけどね。仕事じゃなくて趣味だから・・・。」
みなさんも理学療法士という仕事を趣味と思えるだろうか。そう思えたとしても自信をもって言えないだろう。
「答えなんかない。何をやるにもあなた次第。悩んで悩んで悩みなさい。あなた達はまだ若いのだから。」
何でも口に入れてみて、消化できるものだけ咀嚼すればいい。そんな言葉に背中をおしてもらったような講義となった。

(文責 田中 聖也)

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湯田 健二 先生

「人工股関節全置換術後の理学療法展開」

海老名総合病院
理学療法士 湯田 健二 先生

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~湯田ワールド~
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 講義の第一声は「みなさん湯田ライン覚えています?」であった。その質問に対し受講者から笑いが起きる。前回の講義での「湯田ライン」は強烈なインパクトがあっただけに、がっちりと湯田ワールドに引き込まれていく。

前回のおさらいから始まり、実技は額と頭へのアプローチで頚部伸筋群の過剰収縮の抑制からおこなわれた。「やる方はやることに集中。やられる方はやられることに集中」という言葉に会場内が数秒間静寂に包まれる。
「体で覚えましょう!!!」変なポーズで会場の笑いを誘いながら重要な部分が記憶に残るように講義が進められていく。
初めは会場の前方で行われていた講義が、いつのまにか会場の真ん中で行われている。
「参加者全員に理解してもらいたい」「もっと近くで見てもらいたい」という先生の熱い気持ちの表れなのか。その周囲を参加者が囲む。参加者の中には見えないからといって治療台の上に登ってまで先生のアプローチを見る方もいた。先生が熱くなれば、参加者も熱い!!!



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 頭部から足部までアプローチ方法は多種多様で、特に先生が熱く語られていたのはヒールロッカー、アンクルロッカー、フォアフットロッカー所謂ロッカーファンクション機構を使用するための長腓骨筋の重要性、ASISから始まり大腿筋膜張筋、腸脛靭帯・・・と続くスパイラルラインである。前回の講義でも取り上げられていたテーマを、今回は臨床的にどう利用するかということで先生の手ほどきを受けた。















~講義を終えて~

とにかく熱い!!!講義の終わりではまだしゃべりたりないという気持ちがひしひしと伝わってきた。術後早期に荷重ということが頭に浮かび、無理に立位又は歩行を行っていたのではないだろうか。しかし先生は「術後早期からむやみに無理に立位、歩行を行う必要があるのか?」という疑問をもたれ、試行錯誤を行った結果、今回披露してくれた湯田理論が生まれた訳である。
「立位や歩行できる準備が整ってからでいいですよ。」患者の現在、将来を見据えているからこその考えではないだろうか。
患者のためと思って行っていたことが、実は最善ではないアプローチかもしれない。では最善とは何だろう?改めて患者の心と身体に向き合わなければならない。そう考えさせられる講義であった。


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