研修報告会


<講演内容>
歩行と運動学習の神経科学
~その神経メカニズムと臨床デザイン~










森岡周先生
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター


歩行の視覚運動制御
Ⅰ.行動発現の神経機構
Ⅱ.姿勢制御の発達と神経機構
Ⅲ.歩行制御の神経機構
Ⅳ.歩行障害に対する治療/学習戦略
Ⅰ.行動発現の神経機構

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
A.感覚の統合と作業記憶の生成
B.大脳皮質・基底核・小脳の認知ループと行動計画の生成
C.大脳皮質・基底核・小脳の認知ループと運動プログラムの生成
D.大脳皮質‐脳幹投射系による姿勢制御の仕組み
E.皮質脊髄路による精緻運動の仕組み

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
A.感覚の統合と作業記憶の生成
B.大脳皮質・基底核・小脳の認知ループと行動計画の生成
C.大脳皮質・基底核・小脳の認知ループと運動プログラムの生成
D.大脳皮質‐脳幹投射系による姿勢制御の仕組み
E.皮質脊髄路による精緻運動の仕組み

上丘→前庭神経核(脳幹レベル)視蓋脊髄路(眼球運動制御)
前庭神経核(脳幹レベル)→前庭脊髄路・網様体脊髄路(姿勢維持・眼球運動制御)
脊髄反射・網様体(脊髄・脳幹レベル)→網様体脊髄路(姿勢維持)

・立位姿勢時の脳活動に小脳が関与している→誤差学習
・姿勢筋緊張の調節
 ①大脳皮質と基底核および脳幹を介した促通系
 ②基底核と脚橋被蓋核を介した抑制系
 ③小脳による(前庭脊髄路や網様体脊髄路)促通系
 ④脳幹による抑制系(コリン作動系)
 ⑤脳幹による促通系(モノアミン作動系)

・姿勢制御と随意運動の神経機構
 セラピストは意志の発動とともに、目的動作をさせて難易度を調整していく。(ギリギリのライン)
 →常に皮質脊髄路・網様体脊髄路を常にリンクさせている。

姿勢制御の神経機構
 脊髄:短潜時の下肢近位筋の筋紡錘入力由来の伸張反射
 脳幹:感覚入力に伴う定型的パターン
 小脳:意識にのぼらない感覚入力による姿勢制御。反射の利得の調整姿勢制御の適応的変化
 基底核:状況に応じた姿勢制御戦略の準備。事前選択
 大脳皮質:認知状態。感覚情報処理。統合外乱事前予期に応じた姿勢制御。ステッピング反応。注意。

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
・脊髄内におけるCPGメカニズム 
脊髄の歩行リズム生成機構
介在細胞群(リズム生成)→介在細胞群(パターン生成)→運動細胞群(運動出力)→骨格筋
※股関節伸展の動きと荷重入力が加わった時に下肢筋のパターン化された活動が生じる

・姿勢制御における小脳の役割
誤差学習時に小脳が関与する。
 Leg placement障害:歯状核を中心とした障害領域
 バランス障害:室頂核および中位核周辺を中心とした障害領域

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
脊髄:CPGによる周期的な運動出力
脳幹:歩行誘発野による歩行運動入力を引き起こすためのトリガー
小脳:大脳皮質、CPGからの遠心性コピーと感覚フィードバック情報による位相の制御と適応。視覚誘導型歩行
基底核:皮質‐基底核ループ、基底核‐脳幹系による歩行開始や筋緊張の調節状況に適した歩行
大脳皮質:脊髄レベルの制御の感受性変調視覚情報の処理、歩行開始、体性感覚や前庭覚との統合。視覚と歩行運動の協調

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
適応的運動学習:感覚学習
✓感覚情報に基づいて行う運動学習
✓外界の条件に従いその変換過程を学習
✓道具を使った運動
✓内部モデルの形成
連続的運動学習:記憶学習
✓連続的に繰り返される動作の中から、動作順序に関する知識の獲得を行う
✓ある課題における身体の動作手順

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
・言語フィードバック、必要に応じて徒手フィードバック
・特に練習前半において重要な役割を果たす
・練習の進行に伴い、徐々に頻度を下げる
・できる限り実際の生活場面に近い感覚入力でフィードバック
※姿勢・歩行制御は下肢・体幹の固有感覚、体性感覚による制御の割合が高い
・フィードバックを与えるタイミング
・相手のフィードバック情報のキャパシティをみる
・positive feedbackは報酬、モチベーションに繫がる

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
・認知段階:何をどうすれば良いか
・連合段階:どのおうに行うか
・自動化段階:いかに上手くやるか

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
<教師なし学習>
明確な学習基準がない状態で、課題を繰り返し、記憶を生成し記憶と実際の結果を結合していく学習過程
強化学習
報酬予測誤差情報によりその運動が教科される学習過程

<教師あり学習>
比較照合する基準があり意図した運動と実際にした運動結果の誤差により学習していく過程。内部モデルを生成。

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
ドーパミン神経細胞は「行動を起こすときに得られる期待される報酬の量」と「行動をとった結果、実際に得られた報酬の量」の誤差(予測誤差)に応じて興奮し、興奮の度合いに比例して。行動を起こすのに関与した神経結合のシナプス伝達効率を向上させる。
ヒトと環境との間の相互作用から報酬と経て、報酬を最大化するように、自分の選択可能な行動の価値を学習していく。

視線停溜パターンに基づく患者の群分け
・価値の判断と意思決定に関わる眼窩前頭皮質
・実行機能と認知的制御に関わる前部帯状回と前頭前野背外側部
・成人の価値判断システムでは予期された報酬が与えられなかった場合、成功による報酬を達成するためのアップデートが行われている。


平成26年4月12日13日
歩行フェスタ


平成26年3月30日
運動支援の心理学


平成26年2月15.16日
福岡/極める下肢運動器疾患のリハビリテーション


平成26年2月16日
片関節の機能解剖と疾患・実際の治療について